たかぎりょうこの住友グループ探訪
三井住友建設 鷲見橋

東海北陸自動車道の道路橋「鷲見橋」。
一番高い橋脚は125mを有し、完成すれば橋脚の高さが日本一の道路橋となる。

  • 三井住友建設 鷲見橋

橋脚のそばに立ち、見上げると遠くから見たのとは大違い。そびえ立つ直線のボリュームに思わず圧倒される。しばらく見つめていると橋の向こうの雲の流れに自分が揺れているような錯覚に陥った。

「高い〜! 長い〜!」
「くつろいでもいいですか?」「ふ~」

昇れば快適な作業空間が広がる。まるで空中リビング。

名古屋駅から岐阜方面に高速道路を飛ばして約1時間半。高速道路を降り、少し山道を行くと、2車線を4車線に変更する工事が行われている巨大な橋が現れる。

「かっこいい……」。実物を目の前にして最初に出た言葉はこれだった。事前に写真で見た鷲見橋は「シンプルで美しいフォルムの橋」という印象だったのだが、いざ自分の足元からそびえ立つ巨大な橋脚を見上げると「強い、美しい、雄大、凛とした」と様々な言葉が思い浮かんで、表現しきれない感動が、畏敬の念とともに「かっこいい」という言葉になってこぼれた。

私はもともと巨大建造物が好きで、旅行先ではダムや塔、城などをよく見に行く。そんな中、橋もあればもちろん見に行って、写真を撮ったり、資料を読んだりして、橋の特徴を楽しむのだが、実はこれまで橋を橋脚の高さに注目して見たことは一度もなかった。

実際に橋の上まで行ってみよう、と工事用のエレベーターに乗せていただくと、地上の人々がぐんぐん小さくなっていく。4分程で高さ125mの世界に。幸い私は高所恐怖症ではないが、作業員のみなさんは大丈夫なのだろうかと聞いてみると「仕事となれば問題ないし、ここは安全だから」とのこと。なるほど、確かに作業場に上がってしまえば、床面には頑強なコンクリートが敷き詰められているし、隣にも高速道路があり、目線の高さを車が通っている。“広めのリビング”にいると思えば、これはこれで快適かも(笑)。

でも、よく考えたら快適だと思えるということは、それだけ環境がきちんと整備されているということだ。施工の現場なのにゴミらしきものがなく、私たちが見学するのにも、特別に歩きづらい場所はないくらい整頓されていた。これだけきちんと管理されているから、事故も起こらず、私のような見学者が来ても安心感があるのだろうな、とその職場のきれいさに感心してしまった(ちなみに私の物書きデスクの上は、いつ事故が起こっても不思議でないくらい乱れている! 笑)。

高所作業では安全帯を必ず装着。
作業員から標語を募集した安全看板。前を人が通ると、発案者による音声が流れる。
資材飛散対策で隣接道路も安全。
技術の塊なんだなぁ〜

今回訪問した鷲見橋は、岐阜県の山間の高速道路に架かる橋だ。冬場には、その山々に積もる雪を目当てに多くのスキー客が訪れるという。しかし、スキーにくる人々のいったいどれほどの人が、この橋の素晴らしさを目にしているのだろう? そう思ったら、とてももったいない気持ちになった。だって橋の上を車で走っている最中は、この橋を見ることができないのだから! つながっている道路上を走っているという感覚なので、そこが橋でも、高い場所でもなかなか意識することはないものだ。


スキーに来る人たちにも、ぜひこの素晴らしい橋の全貌を見てほしい。シンプルな橋の構造が、周りの緑や空や雲に映えて実にアーティスティック。冬は雪とマッチしてまた違う景色が見られることだろう。


さらに見た目だけではない。橋の作りが聞けば聞くほど面白いのだ。この橋の橋脚は、SPER工法という、あらかじめ工場で作られたコンクリート部材を組み合わせ、現場でそれを積み重ねることによって出来上がっている。コンクリートは固まるのに、自然条件の影響を受けるので、あらかじめ同じ環境下で作ったほうが品質も安定し、工期を短縮できるというのだから、良いこと尽くしだ。そんな成り立ちを聞いてから橋脚を見上げたら、現場で重ねた部分が分かって、その工事をしたときの様子をつい想像してしまった。


もう一つ面白いのは、橋脚の上に橋桁を作るときは、橋脚から左右にバランスをとりながら、少しずつ“やじろべえ”のように、橋桁(はしげた)を継ぎ足して作っていくというところ。まさか橋桁がこんなふうにどんどん増殖するように広がって、最後はつながるなんて想像もしていなかった。さらにその橋桁の中は人が歩けるほどの空間がある。これはメンテナンスのためにそのようにしているとのこと。橋の中に入れるだなんて、誰が想像するだろう。


鷲見橋はこんなにすごいところなのに、一般に知られていないところがあるのはもったいない! もっとこの地に来る人たちが知るチャンスがあればいいのに、と私はつい思ってしまった。


でも、よくよく考えたら、今まで見てきた巨大建造物もそうだが、その良さは「目立たずただそこにあって、日々人々の生活を支える」という控えめで堅実な性格にあるのかもしれない。うーん、そんなところも本当にかっこいい! ますます巨大建造物が好きになった。

橋ができるまで

①土台となる基礎部を作り、橋脚部のパーツを組み合わせる。
②橋脚の中心から左右にバランスを取りながら橋桁(はしげた)を伸ばしてゆく。
③橋桁をつなげる。道路面の舗装をし、照明をとりつける。

圧縮する力が大事

「高ーいっ」「でもなんで橋桁は落ちないんだろう?」
「伸ばしたままは疲れちゃいませんか?」
プレストレストコンクリート 上からの圧力に強くなる・ひび割れ対策にもなる 「鋼線(こうせん)を引っ張ったまま固定して、鋼線が戻る力を利用して、コンクリートの強度を高めているんです」
「私の顔もぎゅっとしたらシワできなくなりますかね?」

編集スタッフの取材後記

巨大建造物が好きな、たかぎさんはもちろん、カメラマンも、趣味で橋を撮り続けているほどの “橋ファン”。そのため、鷲見橋にお伺いするのを制作スタッフ一同、とても楽しみにしていました。


鷲見橋の見どころの一つは、何と言っても日本一の高さを誇る橋脚です。橋脚のパーツは縦6m、厚さ1mのコの字型で、高さ1.5mほどのコンクリート部材。建設現場ではクレーンを使って積み重ねていきます。取材日は橋脚の架設が済んでいましたが、たかぎさんは橋脚につなぎ目を見つけると、「まるでテトリスみたい!」と目を輝かせていました。

橋脚のそばで、橋を見上げるたかぎさん。
架設中の橋脚(提供写真)。
前から見た、建設中の橋桁(はしげた)。
橋の上から見下ろした景色。ワンボックスカーが小さく見える。

鷲見橋はすでに“橋ファン”の人気スポットになっているようです。また、近くにあるホテルではこの橋を見ながら温泉に浸かることができ、ホテルスタッフは、利用客から鷲見橋について聞かれることが多いのだとか。そのお話を伺った時、思わず「温泉からの景色もいいですね!」と、たかぎさんと私の声が揃ってしまいました。

鷲見橋からの見晴らしも抜群!

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