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中之島図書館に生きる住友家貴重書

中之島図書館に生きる住友家貴重書

大阪府立中之島図書館には、住友が寄贈した数多くの絵巻物や古典籍が収蔵されています。日本の近世を生きた、商人と公家の世界が垣間見えてくる作品群について、大阪府立中之島図書館館長 野本康憲氏と司書部長 大北智子氏にお伺いしました。

インタビュー=住友史料館副館長:末岡照啓

近世古典籍の宝庫

末岡:
中之島図書館といえば、古典籍のコレクションが非常に有名ですね。「古典籍なら、東の国会図書館、西の中之島図書館」と言われているのを耳にしたことがあります。
大北:
私たち館員が言っているだけかもしれませんが(笑)。でも、実際、和古書は多いですね。大学を卒業して、ここに勤め始めて最初の仕事で書庫をチェックしていたら、教科書に載っている有名な本が、次から次へと出てきまして。あ、これもある、あれもあると。チェックするのがうれしくて仕方なかったのを覚えています。
末岡:
いったいどれくらい所蔵されているんですか。
野本:
明治初年より前に世に出された和古書と漢籍、約20万冊といったところでしょうか。
末岡:
やはりすごい数ですね。
大北:
古典籍といっても、当館には、室町時代以前の古い本は少ないですね。近世に入って商人が台頭してきたころの本が非常に多いのが特徴です。
末岡:
なるほど。商人の町といわれる大阪の図書館としては、面目躍如といったところでしょうか。
左から末岡照啓氏、大北智子氏、野本康憲氏
左から野本康憲氏、大北智子氏、末岡照啓氏
野本:
末岡さんもご存知の通り、これらの古典籍は、私たちが集めたものもありますが、商家や個人の方々からの寄贈によるものが非常に多いです。開館間もない明治後期から大正期にかけて、相次いでいただきました。ずっと蔵などに大切にしまわれていたものなのでしょうが、火災で焼失するリスクなども考えられたのかもしれません。住友さんが立派な図書館を建ててくださったから、あそこにしまっておいてもらえば、燃えることもあるまいと考えられたのではないでしょうか。
末岡:
それを聞けば住友春翠(住友家15代当主:住友友純)も野口孫市(大阪府立中之島図書館を設計)も喜ぶでしょう。大阪には、商人が自ら学ぼうとする空気がありましたね。お上に頼ることなく、自分たちで知識を蓄え、また伝えていこうとする。だからこそ、商家は多くの書物を保管していたし、またそれを図書館に寄贈して、町の共有財産として還元しようとした。商売によって財を成した者の責務と考えられていたからでしょうね。春翠にも当然そうした思いはあったでしょうから、建物を寄付するだけでなく、多くの図書を寄贈することに躊躇はなかったと思いますね。
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