様々な領域の最前線でプロジェクトを率いる住友グループ各社社員の、
未来にかける熱い想いを紹介します。
志太平野の空を映す池に、ミナミメダカの泳ぐ姿が見える。視線を移せばヤマトタマムシがすむエノキの林。住友ベークライト静岡工場内の企業ビオトープ※「憩いの杜」では、多様な生き物が懐かしい風景をつくっている。「当社はこれまで、環境負荷低減の一環として、環境対応製品の開発などに取り組んできました。さらに、生態系の保全・再生活動に取り組むことにより、その象徴となる企画を考える中で、ビオトープの構想が持ち上がりました」と、熊谷孝善さんが経緯を説明する。
「常葉大学の山田辰美教授に、当工場敷地内の排水路の動植物調査をお願いしたところ、希少種のミナミメダカの生息やカワセミの飛来が確認されました。そこで、メダカが増えカワセミが巣を作る環境を主なテーマに、水辺を中心に当地本来の景観の復元を図ったのです」と、永野晃さんも言葉を添える。
造成開始は2012年。在来種を植えて外来種は抜くなど、すでにある生態系を壊さないように、少しずつ整備を進めた。そして5年後の今、メダカが群れで泳ぐ姿を見られるまでになった。
「今年度から一般公開を始めました。環境教育の第一歩は、身近な自然に関心を持つことだと思います。社員や近隣の方々にも、そのきっかけを提供していきたいですね」と、語る上田桂司さん。
人工物と自然が融合し、多くの人に開かれたこの景観が、末永く同社の高い環境意識を伝え続けることは間違いない。
※ ビオトープ:生物生息空間
SUMITOMO QUARTERLY NO.149より転載