様々な領域の最前線でプロジェクトを率いる住友グループ各社社員の、
未来にかける熱い想いを紹介します。
今春、画期的な床ずれ防止マットレスが登場した。住友理工の「SRアクティブマットレス体圧ブンさん」だ。自動車・産業用ゴム部品メーカーである同社が独自に開発した柔軟導電ゴムを用いた「スマートラバー(SR)センサ」と、空気の量を調節できる、エアセルと呼ばれる小さなエアクッションのようなものを組み合わせることで、寝ている人の体圧の分布を常に計測し、圧が集中している部分のエアセルの高さを変えて体圧を分散させるもの。頻繁に体位交換をしなくても床ずつながるれができにくくなり、介護時の負担の大幅な軽減につながる。
「当社の技術を医療介護機器に生かしたいと、2010年から九州大学と共同で知恵を出し合う中で着眼したのが、特に在宅で介護されている方の体位交換のご苦労でした。例えば高齢の奥様がお一人で、毎晩2時間おきにご主人を抱えて体位交換をするのは、大きな負担です」と、渡辺裕介さんは開発の経緯を話す。
「実際に看護・介護に当たっている方と、介護される側の方のニーズや試作品の評価を聞き取るため、モニターの方々がいらっしゃる九州に、開発担当者が5年間住み込みました。試作機の大幅改良も7度行いました」と、早川知範さんも道のりを振り返る。
努力の結果、介護施設の職員の方も太鼓判を押す製品となり、今年7月には介護保険でレンタルできる福祉用具として認定も受けた。「介護ベッドは使う方にとって、居住空間そのもの。“ブンさん”は自分の家族にも使わせたい製品だと自信を持っています」(早川さん)
今回の開発を通じて得たノウハウを生かし、現在は海外展開に向け準備を進めている。
SUMITOMO QUARTERLY NO.150より転載