開発には7年をかけた。普及のために、頻回に公開実験を行うほか、地域の工務店に必要性を説いて回った。
そんな中、2016年の熊本地震が起こった。被災地で、「MIRAIE」を搭載していた家屋は、震度7の揺れにびくともしなかった。性能の確かさに、熊本城の復旧整備を担当する大林組が注目し、「MIRAIE」の制振ダンパー技術が天守閣に採用されることが決まった。多くの観光客が集まる名所への導入は、長寿命であることや、小型であることも絶対要件。厳しい条件をクリアすると評価されての打診だった。「当社の技術を認めていただき、手応えを感じています」と松本さんが笑顔を見せる。
愛媛県新居浜市に移築した住友家ゆかりの建築物、「日暮別邸」への導入も決定している。同社の技術に注がれる視線は熱い。