様々な領域の最前線でプロジェクトを率いる住友グループ各社社員の、
未来にかける熱い想いを紹介します。
日本のモノづくりを担う製造の現場で、避けて通れない問題が「労働災害」だ。約9300人の従業員を抱える明電グループにおいても、それは例外ではない。とりわけ、2013年にはグループ内で事故が続いた。これを契機に、全社で横断的に安全衛生を確保するための部門を発足させた。この取り組みから誕生したのが、グループの主力工場である明電舎・沼津事業所の一角に設置された「安全伝承館」だ。過去にグループ内で発生した災害や事故の事例を語り継ぎ、従業員に安全を考える場を提供することを目的としている。「労災が発生した直後は『同じ過ちを繰り返してはならない』という強い思いを持ちますが、時が経つとその思いも形骸化していく。悲しい労災の事実を風化させることなく語り続けることが、同じ会社で働く者の使命だと考えています」と、安全衛生管理部の小林正人さんは話す。
安全伝承館では、労災事例を「重篤災害」「日常災害」「社外事例」の3つに分けてパネルで紹介。労災は決して他人事ではないという注意を喚起している。また、映像と音声によるコーナーでは、事故の被災者本人に対してインタビューを行い、事故当時の思いや、事故から学びとったことなどを生々しく伝えている。
今年の1月に開館した安全伝承館だが、小林さんは「これは『ゴール』ではなく『スタート』」だと語る。
「今後は、災害の疑似体験ができるイベントを定期的に行ったり、労災事例をアニメーションで再現したりといった企画を通じて、従業員が持続的に安全を考えることができるよう取り組んでいきたいと考えています」
SUMITOMO QUARTERLY NO.161より転載