様々な領域の最前線でプロジェクトを率いる住友グループ各社社員の、
未来にかける熱い想いを紹介します。
建設業では人材不足が深刻だ。国土交通省の資料によると、1997年に685万人だった就業者数は2016年に492万人へと減少。一方で高齢化が進み、29歳以下の若い世代は1割程度にとどまっている。
ロボット導入でこの課題に取り組む業界もある。しかし建設は、鉄道・道路・橋梁などのインフラにしても、高層ビルや商業施設にしても、部材の仕様がそれぞれ異なるため自動化には不向きとされる。
ただし、その中でも鉄筋の組み立てには自動化できる部分が多い。三井住友建設はそこに着目し、鉄筋組立作業を自動化する新システム「ロボタラス®」を開発した。同システムは、ロボットアーム先端部で鉄筋の種類に応じた治具と結束機を自動着脱し、省人化・省力化を実現する。
開発に携わった岡本菜里さんは、画期的な取り組みだと胸を張る。
「供給・配置・結束の全工程を組み合わせた自動化は国内初。当社は建設会社でありながら自社工場を持っているので、その強みを活かし、他社に先んじてロボットを活用したこの仕組みを開発できました」
2020年に導入された九州新幹線の鉄道構造物の鉄筋組立では、従来の手作業で約20人の作業員を要したところ、わずか2人で済むようになったという。現在は、能登川工場(滋賀県)で高速道路の部材のために利用されている。
「ロボタラス®」は2020年度の「i-Construction大賞」(国土交通省主催)で国土交通大臣賞を受賞するなど、高く評価されている。「国内初という、めったに立ち会えないプロジェクトに関わることができ、大きなやりがいを感じています」と笑顔で語る岡本さん。今後、導入範囲を広げ、人材不足という課題に解決を見出しながら建設業の未来を築いていく。
SUMITOMO QUARTERLY NO.165より転載