住友が取り組む社会課題 ~未来への羅針盤~

2050年カーボンニュートラル宣言を受け、脱炭素への取り組みが加速しています。さらに、新型コロナウイルスの世界的流行により、健康意識の変化やサプライチェーンにおける人権問題など、私たちが直面する喫緊の社会課題が浮き彫りになっています。この混迷の時代に、事業活動を通して社会課題の解決に貢献する住友グループ各社の取り組みを紹介します。

社会課題テーマ

社会課題をクリックすると、選択したテーマの解説とそれに取り組む住友グループ各社の記事が表示されます。

脱炭素

地球温暖化の原因となる温室効果ガス(GHG)、とりわけ大きな影響をもたらす二酸化炭素(CO2)の排出を抑制し、GHGの実質的排出ゼロを目指すこと。カーボンニュートラルとも呼ばれる。日本政府は、パリ協定が掲げた世界の平均気温上昇抑制と今世紀後半のGHG排出実質ゼロという目標を達成するため、2030年までにGHG排出を2013年度比で26%削減する目標を設定。2020年10月には、2050年のカーボンニュートラルを目指すことを当時の菅義偉首相が宣言した。2021年4月の米国主催気候サミット(オンライン開催)においては、2030年までにGHG排出を2013年度比で46%削減する目標を表明した。

サプライチェーン

ESGが企業価値を測る重要な要素となったことで、企業はグループ企業や関連会社、原料調達先なども含め、製品・サービスのサプライチェーンにおける様々な課題への対応を求められている。サプライチェーンにはCO2や汚水、有害物質の排出、森林破壊、海洋汚染といった環境への影響はもちろん、調達先の人権問題、労働環境、さらには企業ガバナンスなど多様な課題が存在する。こうした課題への適切な対応を行わず、情報開示などを怠ると、ひいては自社の事業に悪影響を被ることになる。

新しい働き方

働き方改革が叫ばれて久しい。ICT活用によって労働生産性を高めつつ、多様な人材がそれぞれのニーズに合った働き方を可能とする仕組みの整備は、各企業で重要性を一段と増している。また、こと日本においては少子高齢化が深刻化しており、今後の生産年齢人口の減少を見据えて人材を確保するためにも柔軟な働き方の実現が必須だ。それに加えて昨今は、新型コロナウイルスの感染拡大によりリモートワークが浸透・定着し、従来と異なるニューノーマルの新しい働き方として注目されるようになった。

健康

従業員の健康管理は、過労・ストレスなどによる事故発生の抑止はもちろん、人材確保が困難な時代において離職を防止するためにも重要な取り組みだ。いうまでもなく従業員が健康であれば業務の生産性が高まり、企業の利益や価値向上にとって効果が期待できるほか、健康経営に取り組んでいることで従業員のモチベーション、満足度の向上にもつながる。さらに現在は新型コロナウイルスの感染拡大により、従業員の健康への配慮はいっそう重要なテーマとなっている。

気候変動

定義は様々だが、いわゆる地球温暖化を指すことが一般的。取り組みとしては温室効果ガス(GHG)削減と災害対策が中心となる。京都議定書を受けて2015年の第21回気候変動枠組条約締約国会議で採択された「パリ協定」において、世界全体の平均気温上昇を産業革命前と比較してプラス2℃より低く保ちつつ、プラス1.5℃に抑える努力の必要性が打ち出された。地球温暖化が進むと気象は極端な現象を引き起こすといわれ、企業にとってはビジネス上の深刻なリスクとなり得るため、中長期的視点での戦略策定と具体的な対策が求められている。

モビリティの電動化

自動車は今、100年に1度の大変革期を迎えている。今後の自動車のあり方を示すキーワードとして「CASE(Connected=コネクテッド、Autonomous=自動運転、Shared & Services=シェアリングとサービス、Electric=電動化)」が提唱され、それぞれの課題に自動車産業だけでなくさまざまな業界が取り組んでいる。電動化については、仕組み上CO2を排出せざるを得ない内燃機関のエンジンを有するこれまでの自動車を、電気で動くスタイルに置き換えていく動きが世界で大きな潮流となっている。

コミュニティ

地域コミュニティは個人・家庭という生活の最小単位と、政府・自治体といった公共の仕組みの中間に位置するものと捉えられ、相互扶助、意見調整、伝統文化の継承といった多様な機能を備えている。この地域コミュニティの崩壊が叫ばれて久しい。コミュニティとは本来、人と人とのつながりのことであり、そのコミュニティが失われることで、他の人とつながることができない=孤独という大きな社会問題にも直結する。こうした流れの中で、人と人のつながりであるコミュニティを再生・再構築することで社会課題解決に向き合う動きも活発に行われている。

貧困

世界人口の10人に1人が1日1.9ドル以下という極度の貧困状態で生活しているといわれる。この貧困の解決は世界的なテーマであり、SDGs(持続可能な開発目標)でも、達成すべきゴールの第1番に「貧困をなくそう」が掲げられている。衣食住といった必要最低限の生活水準が満たされていない、主に発展途上国に多く見られる貧困問題を「絶対的貧困」というが、実は貧困は海外・途上国のみの問題ではない。日本をはじめとする先進国で見られる貧困は「相対的貧困」といわれ、日本ではシングルマザーの家庭を含めて生活困窮状態にある人は多い。厚生労働省の2018年の調査では、国民の等価可処分所得中央値の半分に満たない相対的貧困状況にある人は7人に1人とされる。

次世代の育成

日本では少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少により、次世代を担う人材の育成が急務となっている。社会・産業界全体で取り組むべき課題であることはもちろん、企業にとっては将来の自社を支える人材を数・質の両面から育てていかなければならないうえ、長年にわたり蓄積してきた技術やノウハウの継承も無視できない要素となる。加えてコミュニティの観点からも、これからの地域社会で柱となって活動する人材の創出は先送りできない重要なテーマだ。

先端医療

技術の進化と高度な医療機器の登場により、かつては治療が難しかった病気やケガの治癒が可能となり、より多くの人命を救えるのはもちろん、病気の早期発見や診断の精度も向上した。患者のQOL(Quality of Life)をサポートする医療も進んでいる。例えば、ロボット支援手術や、全身のがんを診断できるPET/CT検査なども、飛躍的に進化を遂げている。こうした医療の進歩には、大学などの研究機関はもとより、企業による最先端技術への取り組みが大きく寄与する。

地産地消

地域の産物をその地域で消費する地産地消は、持続可能な循環を生む資源利用の形として注目される。地元で生産された作物を地域内で消費すれば、長距離輸送を必要とせず、CO₂排出量の抑制が可能。また地域社会が発展することで、SDGsの目標のひとつである「住み続けられるまちづくりを」を実現し、健康で心豊かな暮らしにもつながっていく。少子高齢化や人口減少に悩む地域にとって、地産地消は活性化の武器ともなる。最近では再生可能エネルギーを生かし、脱炭素に貢献しながら産業振興も目指す取り組みが各地で始まりつつある。

食品ロス

世界の食品ロスの総量は、国連食糧農業機関(FAO)の報告を基にした年間13億トンという説に加え、その倍近い25億トンに上るとの説もある。日本でも年間600万トン前後の食品ロスが発生しているとされ、解決策が模索されている。食品ロスは処理や運搬、埋め立て等で環境に悪影響を与えるだけでなく、食品ロスが増えていけば地球の人口増加に対応できない可能性も指摘される。そのためSDGsでもゴール12「つくる責任 つかう責任」のターゲットとして食料廃棄の半減や生産・サプライチェーンでの食料損失減少が盛り込まれた。

地球環境との共生

人と企業が地球環境との共生を図っていく上で、対応すべき課題は多岐にわたる。例えば温室効果ガス(GHG)削減で脱炭素社会につなげる気候変動対策、また人々の生活や事業活動は自然の恵みを利用して可能になっているという観点からの自然資本・生物多様性保全、そして海洋プラスチック問題に象徴される環境負荷低減など、まさに多種多様だ。さらには、近年激甚化が顕著な自然災害にいかに対応し、安心・安全な暮らしを実現していくかという視点も注目される。

強靭性・回復力

極端化している台風や豪雨や、地震や噴火といった自然現象が、世界的に大規模な災害をもたらし続けている。この状況で災害に対して強靭かつ柔軟な仕組みをつくり、万が一被害を受けた際にも迅速に立ち直れる回復力を社会が身につけることが求められている。SDGsでも、人々が安心・安全に暮らせる持続的なまちづくりや強靭なインフラ整備がうたわれ、いま取り組みが急務となっている。災害への対応という点では、防災・減災につながる対策や商品・サービスの提供も、企業にとって重要な使命だ。

地方創生

少子高齢化や首都圏への人口集中などにより、地方での人口減少と経済の衰退が問題視されている。2014年の第二次安倍内閣で、地方活性化の政策として「地方創生」が掲げられたことで、言葉として一般化した。具体的には、地方がそれぞれに持つ、産業、自然、文化、観光などの「資源」を生かすことで、地域の産業を強化して、人の流れを呼び込み、人口の減少問題を解決するための取り組み。SDGsの「住み続けられるまちづくりを」や「すべての人に健康と福祉を」などの目標も、地方創生と親和性がある。

各社の取り組み

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