住友が取り組む社会課題 ~未来への羅針盤~
未来を担う子どもたちの「共に創る力」を
CAMPワークショップを通じて育成する
SCSKグループは、「夢ある未来を、共に創る」を経営理念に掲げて、長期的な視点で社会課題の解決に貢献する「サステナビリティ経営」を成長戦略として推進している。
環境問題や社会課題の解決に向けた取り組みを進めるうえで、IT・デジタルは必要不可欠な要素であり、長年にわたって培ってきた技術・知見を活用して提供するITサービスは、顧客の課題解決や競争力強化を支援するだけでなく、社会課題解決に資する新たな機能や仕組みも創出している。
「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成に向けて地球規模での連携が進むなか、ITサービスの提供という本業で社会を豊かにすることに加えて、本業以外でも地域社会や国際社会の課題に積極的に関わり貢献することは企業の重要な役割になるとSCSKは考えている。マテリアリティとして特定した「豊かな未来社会の創造」「安心・安全な社会の提供」「いきいきと活躍できる社会の実現」は、いずれも「人の幸せ」につながるものだ。
社会貢献活動で力を入れているのが、未来を担う子どもたちの「共に創る力」を育成するCAMP(Children’s Art Museum & Park)だ。小中学生を対象に、本社や全国のグループ会社で開催されるワークショップを通じて、子どもたちがいろいろな表現方法を学び、グループでの共創活動を通じて、これからの時代を生きていくうえで必要な社会性や、他者や多様性を受け入れて楽しむ心を育んでいくプログラムだ。
CAMPの歴史は古い。住友グループに入る前の2001年、当時のCSKが米マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボや、国内外の様々な研究機関やミュージアム、アーティストの協力を得て活動を開始したのが始まりだ。これまでに「考える」「つくる」「つながる」「発表する」「ふりかえる」という5つの要素を織り込んで構成される70を超えるワークショップが開発されている。
2001年から現在までの開催は1,200回、参加人数は2万3,000人を超えている。東京・豊洲の本社にあるCAMPスタジオには、月1回のCAMP開催時に近隣から子どもたちが集まってくる。全国のグループ会社での実施も合わせると年間30回程度のCAMPワークショップが開催されている。
CAMPワークショップのコンセプトは、「子どもたちの創作体験や共同作業、作品の発表を通じて、楽しみながら自分に合った表現方法を見つけ、コミュニケーションの輪を広げていく」ことだ。
2023年8月20日に豊洲本社で開催された「CAMP発明ワークショップ」には、小学校4年生から中学校3年生まで約20人が参加した。年齢も住んでいる地域も異なる初対面の子どもたちがワークショップに集まってきて、CAMPを運営するファシリテーターのサポートを受けながら、どんどん親密になっていく。子どもたちは3、4人のグループに分かれ、議論しながらそれぞれの発明品を作り上げて楽しそうに発表していった。
CAMPには発明ワークショップ以外にも、MITメディアラボが開発した小型コンピューター「ピコクリケット(PICOCRICKET)」を使ってプログラミングの楽しさを体験する「CAMPクリケットワークショップ」や、不思議なタネをきっかけに、空想しながら未知の植物を育てる「CAMPくうそう・しょくぶつ・図鑑ワークショップ」、コロナ禍でオンラインワークショップとして開発した、自宅でほったらかしになっているモノを使ってコマどりアニメをつくる「おうちCAMP ワークショップ『てくてくつくもがみ ~コマどりアニメをつくろう~』」など、さまざまなプログラムがある。
ワークショップはSCSKの社員がボランティアとして携わるだけでなく、各拠点のSCSKグループ社員や近隣の大学生、一般公募で集まった人たちがファシリテーターとして運営している。ファシリテーターは、子どもたちの自主性やコミュニケーションを引き出しながら、円滑にワークショップを運営し、適切なタイミングでサポートできるよう研修を受ける必要がある。ワークショップが開催されるのは日曜日が中心だが、未来を担う子どもたちと触れ合うことで、大人にとっても学びと気づきが得られる有意義な機会となっており、ファシリテーターになりたいという希望は引きも切らない。昔CAMPに参加した子どもが大学生になって、ファシリテーターとして参加するケースもあるという。
CAMPは、ほかの企業や自治体、大学と共に開催されることも増えている。ワークショップに参加した経験がその後のキャリアにどのような影響を及ぼすのか調査・研究も行っている。
近年、環境問題や人権問題、地域紛争など世界規模の課題がより身近に感じられるようになってきた。この複雑で解決が困難な課題はこれからの未来を担う子どもたちに引き継がれていく。子どもたちの発想力や共創力を育み、多様な次世代人材を育成することは持続可能な社会の実現につながっていく。
経営理念の3つの約束の1つとして「人を大切にします。」を掲げるSCSKは、企業の社会的責任の一環として、社会貢献活動を通して子どもたちの育成に取り組んでいく。