住友が取り組む社会課題 ~未来への羅針盤~

住友ベークライト×地球環境との共生、次世代の育成

工場敷地内にビオトープを造成して絶滅危惧種や希少種などを保全し、
近隣小学校で生物多様性の重要性を学ぶ出前授業を実施

 地球環境との共生
人と企業が地球環境との共生を図っていく上で、対応すべき課題は多岐にわたる。例えば温室効果ガス(GHG)削減で脱炭素社会につなげる気候変動対策、また人々の生活や事業活動は自然の恵みを利用して可能になっているという観点からの自然資本・生物多様性保全、そして海洋プラスチック問題に象徴される環境負荷低減など、まさに多種多様だ。さらには、近年激甚化が顕著な自然災害にいかに対応し、安心・安全な暮らしを実現していくかという視点も注目される。住友ベークライトは、静岡県藤枝市に立地する静岡工場内にビオトープを造成・整備し、多様な動植物が生育・生息する生態系の保全に取り組んでいる。
 次世代の育成
日本では少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少により、次世代を担う人材の育成が急務となっている。社会・産業界全体で取り組むべき課題であることはもちろん、企業にとっては将来の自社を支える人材を数・質の両面から育てていかなければならないうえ、長年にわたり蓄積してきた技術やノウハウの継承も無視できない要素となる。加えてコミュニティの観点からも、これからの地域社会で柱となって活動する人材の創出は先送りできない重要なテーマだ。住友ベークライトでは、ビオトープを造成・整備した静岡工場が生物多様性保全の取り組みについて近隣小学校に出前授業を行ったり校外学習を受け入れたりして、地域との連携を深めている。

日本初のプラスチック製造を行った企業として、高度な専門技術と最新の設備により次々に新しい技術を開発し、あらゆる分野で安全で快適な生活環境づくりに貢献する住友ベークライトは、「プラスチックの可能性を広げることで、持続可能な社会を実現する」というパーパスを掲げる。SDGsの概念と一致する住友ベークライトの「基本方針(社是)」に基づいた「私たちの行動指針」に示された取り組みのひとつとして、SDGs目標15にある生物多様性保全の推進 、環境負荷低減の推進や調達方針への展開を進めている。

静岡県藤枝市に立地する 静岡工場では2011年度に行った敷地内生態系調査において、雨水などの流出水を一時的に貯留する調整池で地域の絶滅危惧Ⅱ類(VU)[静岡県レッドリスト] のミナミメダカが確認された。生物多様性保全の必要性が高いと判断して、敷地面積 27万6,472m2の約5%をビオトープ「憩いの杜」として造成し、2017年3月に整備が完了した。

ビオトープ内は、ミナミメダカ以外にもカワセミやヤマトタマムシなど、多様な動植物が安定して生活できる生息空間になっている。自然環境を保全するためのビオトープであっても、そのまま放っておくと外来生物や植物が増えてしまう。そのため環境管理部が主体となって、週1回程度ビオトープの環境を点検して保全に努めている。

カワセミ、タマムシ、ミナミメダカ
カワセミ(左)、タマムシ(中)、ミナミメダカ(右)。

このビオトープで取り組む生物多様性保全の意義を地域へ発信していくため近隣地域にも公開し、近隣の小学校で出前授業を実施したり校外学習を受け入れたりするなど、地域との連携を強化している。出前授業は担当者が学校を訪問し、小学校5年生の「総合的な学習(探究)」の時間と4年生の環境教育に児童を集めて1コマ45分の授業を実施している。教える相手が小学生だけに、使う言葉には気を使っている。例えば、カーボンニュートラルについて説明する際にも、児童は植物の光合成について理科の授業で学んでいないので、「光合成」という言葉を使わず、CO2の吸収や排出がなぜ地球環境に大きな影響を与えることになるのかアニメーションなどを多用して分かりやすく説明するよう努めている。

近隣の小学校での出前授業の様子
近隣の小学校での出前授業の様子。

2022年度は新型コロナウイルス感染症対策で一般の工場見学は中止したが、生物多様性保全の取り組みについて近隣小学校との対話は継続し、出前授業やビオトープを活用した校外学習などの要請に対応してきた。藤枝市内の小学校4校に理科の教材としてメダカを提供。その他にも出前授業として、ミナミメダカを含む生物多様性の保全をはじめとしたSDGsの取り組みなどを紹介した。校外学習では春・秋の2回に分けて、ビオトープへの来訪もあり、実際のビオトープを見た子どもたちに生態系保全の大切さを実感してもらうきっかけにもなっている。

小学校向けの出前授業だけでなく、住友ベークライトが主体(幹事)となって、静岡県藤枝市に工場を置く企業と協力しながら、産官学連携で「藤枝市理科教育支援プロジェクト」を行っている。藤枝市内の中学校の理科教員を対象に、各企業の事業活動や扱っている製品を紹介し、工場見学を通して理解を深めてもらうことで、理科の授業の参考になるよう次世代教育に寄与することに力を入れている。

ビオトープ内の湿地を観察する子どもたち
ビオトープ内の湿地を観察する子どもたち。

2021年6月に英国で開催されたG7サミットで合意された「生物多様性の損失を食い止め、回復させる」というネイチャーポジティブのゴールに向け、各国は2030年までに自国の陸域と海域の30%以上を健全な生態系として効果的に保全・保護する「30by30」(サーティ・バイ・サーティ)を推進している。日本でも30by30達成に向けて環境省主導で「生物多様性のための30by30アライアンス」が発足し、住友ベークライトも参画した。アライアンスでは、国立公園等の保護地域の拡充と、保護地域以外に民間等の取り組みで保全されている地域や、自然環境の保全に貢献している地域をOECMとして認定する仕組みを検討している。住友ベークライトは、静岡工場のビオトープのOECM認定取得を目指している。静岡工場をモデルケースに他の工場や事業所での取り組みも進め、30by30達成に貢献していく。

住友ベークライト
https://www.sumibe.co.jp/
住友ベークライトは、1932年創業以来、半導体情報通信・高機能プラスチック・クォリティーオブライフの3つをコア事業分野として強化拡大に努めてきました。プラスチックに機能を付与し、広くお客様にソリューションを提供しています。また近年国際化を積極的に展開しており、ヨーロッパ、北米、中国、東南アジア等に広く子会社・関連会社を擁し、研究・生産・販売を世界規模で展開しています。

各社が取り組む社会課題

脱炭素 パネルイメージ

脱炭素

地球温暖化の原因となる温室効果ガスの実質排出量ゼロを目指す、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを紹介します。

サプライチェーン パネルイメージ

サプライチェーン

サプライチェーンのグローバル化や複雑化に伴い、企業にはサプライチェーン上で発生する課題への適切な対応が求められています。

新しい働き方 パネルイメージ

新しい働き方

新型コロナウイルスの感染拡大により多くの企業が従来型の働き方を見直したことで、働き方改革が加速しています。

健康 パネルイメージ

健康

新型コロナウイルスの感染拡大により、企業にとって従業員の健康への配慮はよりいっそう重要なテーマとなっています。

気候変動 パネルイメージ

気候変動

地球温暖化の進行はビジネス上の深刻なリスクを引き起こす可能性があります。そのため、企業には中長期的視点での戦略策定と具体的な対策が求められています。

モビリティの電動化 パネルイメージ

モビリティの電動化

環境負荷軽減への対応や社会的ニーズの高まりとともに、モビリティの原動力がガソリンから電気へと置き換わりつつあります。

コミュニティ パネルイメージ

コミュニティ

人と人のつながりであるコミュニティを再生・再構築することで社会課題解決に向き合う動きが活発になっています。

貧困 パネルイメージ

貧困

子どもの貧困問題への対応が喫緊の課題になるなど、現代の日本においても貧困は深刻な社会課題の一つとなっています。

次世代の育成 パネルイメージ

次世代の育成

日本では少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少により、次世代を担う人材の育成が急務となっています。

先端医療 パネルイメージ

先端医療

近年における医療の飛躍的な進歩には、大学等の研究機関はもとより、企業による最先端技術への取り組みが大きく寄与しています。

地産地消 パネルイメージ

地産地消

再生可能エネルギーを生かし、地産地消を通じて脱炭素に貢献しながら産業振興も目指す取り組みが各地でスタートしています。

食品ロス パネルイメージ

食品ロス

世界では食料生産量の3分の1に当たる約13億トンが毎年廃棄されているとされ、食品ロスの解決は一刻を争う課題になっています。

地球環境との共生 パネルイメージ

地球環境との共生

人と企業が地球環境との共生を図っていく上で、対応すべきさまざまな課題について、各社の取り組みを紹介します。

強靭性・回復力 パネルイメージ

強靭性・回復力

自然災害だけでなく、さまざまなハザードがあり、その姿は時代とともに変化し、激甚化もしています。それに負けない強靭性や回復力を持つしなやかさが求められています。

地方創生 パネルイメージ

地方創生

地域の資源を生かして産業を強化することで、地方の人口減少を克服し、持続的な社会を創生する取り組みを紹介します。

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