住友が取り組む社会課題 ~未来への羅針盤~

住友ファーマ×先端医療、健康

手指の麻痺を残さないための新世代リハビリ、AIとロボットが手指の動きをサポート

 先端医療
技術の進化と高度な医療機器の登場により、かつては治療が難しかった病気やケガの治癒が可能となり、より多くの人命を救えるのはもちろん、病気の早期発見や診断の精度も向上した。患者のQOL(Quality of Life)をサポートする医療も進んでいる。例えば、ロボット支援手術や、全身のがんを診断できるPET/CT検査なども、飛躍的に進化を遂げている。こうした医療の進歩には、大学などの研究機関はもとより、企業による最先端技術への取り組みが大きく寄与する。住友ファーマのフロンティア事業推進室では、脳卒中後の患者さんなどに生じる手指麻痺を回復させるためのリハビリテーション用ロボット装置を開発し、後遺症に悩む人を減らす取り組みを進めている。
 健康
従業員の健康管理は、過労・ストレスなどによる事故発生の抑止はもちろん、人材確保が困難な時代において離職を防止するためにも重要な取り組みだ。いうまでもなく従業員が健康であれば業務の生産性が高まり、企業の利益や価値向上にとって効果が期待できるほか、健康経営に取り組んでいることで従業員のモチベーション、満足度の向上にもつながる。さらに現在は新型コロナウイルスの感染拡大により、従業員の健康への配慮はいっそう重要なテーマとなっている。住友ファーマは従来の製薬の領域だけでなく、未病から社会復帰までの広い意味での健康を支える事業で、人々の暮らしに貢献する。

2022年4月に大日本住友製薬から社名を変更した住友ファーマは、これまで製薬会社として、医薬品を提供することで疾病の治療に貢献してきた。現在は、主力の精神神経系の薬剤に加えて、がん領域や再生・細胞医薬分野の研究開発、さらに未病や治療後のケアまでを含めたフロンティア事業へと事業領域を拡大している。フロンティア事業では、治療だけではなく疾病予防から診断、治療、介護、社会復帰までのいわゆる「ペイシェントジャーニー」をトータルでサポートすることを目指す。医薬品による治療だけでない非医薬のソリューションを組み合わせることで、人々の健やかさを守ろうという考えである。

疾病の治療前後に当たる予防や社会復帰のフェーズについては、住友ファーマで培ってきた医薬品事業の技術やノウハウに加えて、非医薬の技術や知見が求められるケースが少なくない。住友ファーマは2019年4月に、専業部門としてフロンティア事業推進室を設立し、非医薬の各種のソリューションの創出や提供を効率的に推進する体制を整えた。

フロンティア事業推進室では、認知症やうつ、運動機能障害などの診断、治療、治療後の介護といった分野に特化してソリューション開発を進めている。2022年9月には、同推進室から初の製品として手指運動のリハビリテーション機器の市販提供を開始した。独自の生体信号処理とロボット技術を用いて医療機器やアバターを開発するスタートアップ企業のメルティン MMI(以下、MELTIN)との協業による「MELTz手指運動リハビリテーションシステム」(以下、MELTz)だ。回復期リハビリテーション病棟が主な販売先である。

MELTz手指運動リハビリテーションシステム
MELTz手指運動リハビリテーションシステム、ハンドユニットの写真

MELTzの市販提供に至った背景には、疾病の後遺症として麻痺が残る患者が多いことが挙げられる。厚生労働省によれば、脳卒中の患者は累計で120万人を超え※1、脳卒中は日本人が「要介護」になる原因の2位、「寝たきり(要介護4、同5)」になる原因の1位を占める※2。脳卒中などを原因とする麻痺は、リハビリテーション(リハビリ)によって回復が期待できるが、その優先順位は歩くための足、食事をするための嚥下機能が高く、手指のリハビリは優先順位が低いのが現状だという。実際には、麻痺のある状態でも食事や着替え、トイレなどで手を動かす必要性は高いが、限られた時間で行われるリハビリ期間の中で後回しになるケースが多い。

  • 1「2020年 患者調査の概況」
  • 2「2019年 国民生活基礎調査の概況」

一方で、高度なリハビリを実現するために、ロボットリハビリテーションが近年注目されている。手指は動きが複雑なため、これまではロボットリハビリテーションの導入が難しい部位だった。そこで住友ファーマはMELTINの技術を使って、手指に特化したロボットリハビリテーションの装置を開発して、市販提供にこぎつけた。

MELTINと共同開発したリハビリテーションシステムのMELTzでは、生体信号の中でも運動神経に伝えられる筋電に着目した。筋電は電極を貼り付けることで皮膚の表面から容易に取れる。患者が手を動かしたいと思うときに脳から出た指示に応答して前腕で発生する微弱な筋電信号を、AI(人工知能)を用いた独自技術でリアルタイムに解析することで、「グー」「パー」といった意図を推測。手指に装着したロボット装置が連動し、意図に応じた動きをアシストすることで、脳や神経に手指の動かし方を再学習させる。ロボット装置は手指の外側に装着する形状で、手のひら側に装置がないことから、物をつかむトレーニングなどにも有効だ。麻痺によりまったく筋電が出ていない場合にも、ロボット装置が手指を動かすパッシブ型のトレーニングに活用できる。

MELTz手指運動リハビリテーションシステムのコンセプト
運動意図 脳から手指を動かそうとする信号が出る → 生体信号計測 信号が筋肉に伝わる。筋電を計測する → 動作識別 筋電から手指の運動イメージ識別する → 機器駆動 筋電から推測した手指運動意図に応じてロボットハンドが動き、運動をアシストする モーター、生体信号解析コンピューター(AI)を内蔵
手指の運動イメージを筋電(生体信号)から識別するアルゴリズムと、本人の運動イメージに応じた運動を介助するロボット装置の連動により、脳の再学習を促すリハビリテーションを行う装置を目指して開発してきた。

MELTzをリハビリで使って患者の意図と同時に手指を動かすことは、再学習に効果的だというエビデンスが得られつつある。住友ファーマでは、エビデンスをさらに積み重ねながら、医療機器としてMELTzのリハビリの現場への普及を目指す。こうした先端医療技術の進化は、住友ファーマが考える「人々の健やかさ」の一部を支えるもの。脳卒中などによる麻痺で手指が動かない患者を増やさないことを第一としながら、麻痺が生じても、MELTzのようなロボット装置を活用して速やかに適切なリハビリを行い、健やかな暮らしを取り戻せるように貢献していく。

住友ファーマ株式会社
https://www.sumitomo-pharma.co.jp
住友ファーマグループは、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」ことを理念としています。当社グループは、この理念を実現するため、また、日本はもちろん世界の方々に革新的で有用な医薬品や医療ソリューションをお届けするため、研究開発に全力を注いでいます。当社は、アンメット・メディカル・ニーズの高い精神神経領域およびがん領域を重点疾患領域とし、優れた医薬品、再生・細胞医薬、非医薬等を継続的に創製することを目指しています。

各社が取り組む社会課題

脱炭素 パネルイメージ

脱炭素

地球温暖化の原因となる温室効果ガスの実質排出量ゼロを目指す、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを紹介します。

サプライチェーン パネルイメージ

サプライチェーン

サプライチェーンのグローバル化や複雑化に伴い、企業にはサプライチェーン上で発生する課題への適切な対応が求められています。

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新しい働き方

新型コロナウイルスの感染拡大により多くの企業が従来型の働き方を見直したことで、働き方改革が加速しています。

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健康

新型コロナウイルスの感染拡大により、企業にとって従業員の健康への配慮はよりいっそう重要なテーマとなっています。

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気候変動

地球温暖化の進行はビジネス上の深刻なリスクを引き起こす可能性があります。そのため、企業には中長期的視点での戦略策定と具体的な対策が求められています。

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モビリティの電動化

環境負荷軽減への対応や社会的ニーズの高まりとともに、モビリティの原動力がガソリンから電気へと置き換わりつつあります。

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コミュニティ

人と人のつながりであるコミュニティを再生・再構築することで社会課題解決に向き合う動きが活発になっています。

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貧困

子どもの貧困問題への対応が喫緊の課題になるなど、現代の日本においても貧困は深刻な社会課題の一つとなっています。

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次世代の育成

日本では少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少により、次世代を担う人材の育成が急務となっています。

先端医療 パネルイメージ

先端医療

近年における医療の飛躍的な進歩には、大学等の研究機関はもとより、企業による最先端技術への取り組みが大きく寄与しています。

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地産地消

再生可能エネルギーを生かし、地産地消を通じて脱炭素に貢献しながら産業振興も目指す取り組みが各地でスタートしています。

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食品ロス

世界では食料生産量の3分の1に当たる約13億トンが毎年廃棄されているとされ、食品ロスの解決は一刻を争う課題になっています。

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地球環境との共生

人と企業が地球環境との共生を図っていく上で、対応すべきさまざまな課題について、各社の取り組みを紹介します。

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強靭性・回復力

自然災害だけでなく、さまざまなハザードがあり、その姿は時代とともに変化し、激甚化もしています。それに負けない強靭性や回復力を持つしなやかさが求められています。

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地方創生

地域の資源を生かして産業を強化することで、地方の人口減少を克服し、持続的な社会を創生する取り組みを紹介します。

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