住友と共創 ~ビジョンを描く~

三井住友信託銀行

人生100年を応援! 資産の管理・承継に安心を

総務省統計局の「人口推計2024年1月報」によると、2024年1月1日時点の日本の人口は1億2409万人で、65歳以上は3622万8000人。65歳以上が総人口に占める割合は29.2%となっている。世界保健機関が定義した「超高齢社会」(65歳以上の人口が総人口に占める割合が21%超)に日本が突入したのは2007年。それから十数年が経ち、今や3割を超えるのは目前だ。平均寿命は80歳を超え世界有数の長寿大国となった日本では、人生を終えるための活動を意味する「終活」という言葉も生まれた。

この終活を、資産管理・承継の観点で支援するサービスを提供しているのが三井住友信託銀行である。同社は、「人生100年時代」というキーワードが世の中に広がり始めたタイミングの2019年4月、「人生100年応援部」を新設した。最大の強みは「信託」という機能を有している点だ。信託とは、「自分の大切な財産を、信頼できる人や企業に託し、自分が決めた目的に沿って大切な人や自分のために運用・管理してもらう」制度である。

1922年に制定された信託業法に基づき、1924年、我が国最初の信託会社として東京で誕生したのが三井信託で、その翌年に大阪で住友信託が設立されている。その後、合併・再編を経て現在の三井住友信託銀行となったもので100年の歴史を持つ。まさに、同社の歴史が信託の歴史そのものである。

人生100年時代の終活は変質してきている。同社によると、従来は相続対策を主としていたが人生100年時代には、①加齢による認知症発症などの判断能力の低下に備えた資金管理対策、➁住まいを安全・安心な状態にしておくことによる健康対策、③死後に迷惑を掛けないための死後事務対策――が重要になるのだという。

これまでの終活と人生100年時代の終活(三井住友信託銀行のセミナー資料より)

各個人の意思を尊重した多様な選択肢を提供

こうした終活の質的な変化に対応して、人生100年応援部が中心となって提供しているサービスは、①資産管理対策商品、➁死後事務対策商品、③資産承継対策商品――の3分野がある。

そのうち、資産管理対策で代表的な商品が、「人生100年応援信託〈100年パスポート〉」(2019年6月提供開始)である。この商品は、元気なうちに一定額の資金を預けると同時に、本人の判断能力が低下した際の払い出し手続きの代理人として家族の誰かを指定しておくことで、将来の生活費支払いの安心や、詐欺の防止などの安全を提供する商品である。なお、何も準備しないまま認知症になって判断能力が低下すると、本人は預金の引き出しができなくなり、成年後見制度の利用が必要となるが、この場合、毎月少なくない費用が発生する。100年パスポートは、成年後見制度による本格的な対応を希望しない層に向けて、信託を用いた簡便な資産管理手段を提供している。

この商品を発展させ、資産運用をしながら将来の認知症に備えたい人向けに開発したのが、「人生100年応援信託〈100年パスポートプラス〉」(2021年10月提供開始)である。投資信託やファンドラップ(顧客の希望を聞いて立案したプランに基づいて投資一任契約を結ぶ運用手法)といった金融商品で運用することができる。

人生100年時代をサポートする多様な商品群(パンフレットより)

死後事務対策商品としては、「おひとりさま信託」を提供している。本商品は、身寄りのない「おひとりさま」や、将来配偶者に先立たれ「おひとりさま」になる可能性のある人、そして、身寄りはあるが迷惑を掛けたくない人のニーズに応えている。具体的には、遺体の引き取り、葬儀・埋葬、病院代の支払い、公的年金の届出事務などの事務手続き(死後事務)を代行する。家財などの遺品整理、スマホをはじめとしたデジタル機器のデータの消去などにも対応している。

さらに、資産承継対策商品としては、遺言について、遺言作成のコンサルティング、保管、相続発生後の遺言執行までをサービス対象とした「遺言信託」という商品を昭和の頃から提供しており、同社は様々な案件に対応できるノウハウを蓄積してきた。

遺言というと高齢者のイメージとなるが、同社では、住宅ローンを組む20~40歳代を中心とした若い層向けの自筆証書遺言お預かりサービス「ハウジングウィル」を無料で提供している。ウィルは英語で遺言(will)を意味する。住宅ローンを組んだ自宅(ハウジング)の相続に関する自筆証書遺言を三井住友信託銀行が預かり、万が一、ローン返済中に契約者が他界した場合、三井住友信託銀行が自筆証書遺言の「検認」(自筆証書遺言の偽造や変造を防ぐための手続き)を家庭裁判所に申し立て、自宅の円滑、簡便な相続手続きにつなげていく。

「ウェルビーイング(Well-being)」(個人が肉体的、精神的、社会的に満たされた状態)という用語が徐々に市民権を得てきたが、三井住友信託銀行では、「ファイナンシャル ウェルビーイング」(お金についての不安を取り除き、お金と健全に向き合えている状態)に注目している。

終活に対する想いや家族の形は人それぞれであり、ますます多様化しているが、同社は、各個人の想いにしっかり寄り添えるよう、資産管理・承継の分野で積極的な商品開発を行い、多様な選択肢を提供していくことを通じ、顧客の「ファイナンシャル ウェルビーイング」実現に貢献していくことを目指している。

“人生を楽しく生きよう”というメッセージを発信

同社では、人生100年時代をよりポジティブに過ごしていくための、医療・健康関連情報の提供やイベントの開催にも積極的に取り組んでいる。「ウオーキングイベント」や「最新医療に関するセミナー」、さらに「人生100年時代の健康づくりイベント」など、自社で提供するだけでなく他社との協業で、“人生を楽しく生きよう”というメッセージを発信している。

タニタとの協業で開催した「人生100年時代の健康づくりイベント」

長寿社会を迎えたとはいえ、日本人誰しもが「100歳まで生きられる、生きたい」と考えているわけではないだろう。そうした不安を一掃して前向きに生きることを支える応援者が三井住友信託銀行である。

 ジャーナリスト堀純一郎が住友のDNAを探る
人生100年応援部が手掛ける資産管理・承継サービスは、本人の意思の尊重・意思の実現はもちろん、家族や周囲との絆の再確認や、失われた絆の再構築につながっていく側面もある。これらの商品は、信託銀行である同社の業務の中でも中核部分に相当しており、商品に込められた想いは同社の存在意義(パーパス)、経営理念(ミッション)、目指す姿(ビジョン)、行動規範(バリュー)の全てに直結している。また、同社の中長期的な価値創造プロセスに影響を与える重要課題(マテリアリティ)の中でも、「人生100年時代」への取り組みは、社会課題解決型ビジネスから社会的価値の創出につながる「インパクトマテリアリティ(最も重要な課題)」に指定されている。
なお、同社の行動規範(バリュー)の1つである「信義誠実」は、住友信託の設立趣意書に由来しており、住友の事業精神である「文殊院旨意書(もんじゅいんしいがき)」に記されている「萬事入精(ばんじにっせい)」(商売人である前に誠実と努力を重んじ、人として人格を磨くことを説いたもの)にもつながっている。
個人の大切な資産の管理・承継に取り組んでいくためには、同社からの提案に耳を傾けていただけるための信頼を得ることに加え、託された想いを将来にわたり着実に実現していく「信義誠実」「萬事入精」の姿勢を欠かすことはできない。住友の事業精神が礎となっているのである。
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