つぼいひろきの住友グループ探訪
日本総合研究所
東京本社(大崎フォレストビルディング)
シンクタンク、コンサルティング、ITソリューションの3つの機能を持つ日本総合研究所。
より働きやすい環境づくりを目指して、オフィスのリニューアルが行われた。
シンクタンク、コンサルティング、ITソリューションの3つの機能を持つ日本総合研究所。
より働きやすい環境づくりを目指して、オフィスのリニューアルが行われた。
従来のオフィスのイメ―ジを一新してゆったりとした執務スペースが広がっている。
数人のメンバーがサッと集まれる席やモニター付き席、気分を変えて立って打ち合わせができるデスクもある。
日本総研が3~13階に入っている大崎フォレストビルディングは2011年に竣工。2023年には「Connect to Future Values」をコンセプトにリニューアルした。
日本総合研究所は、リサーチやインキュベーション、コンサルティング、ITソリューションなどの専門家が集まっている総合情報サービス企業だ。2023年9月に大規模なリニューアルをしたという東京都品川区東五反田の本社を訪ねた。
エントランスがさっそく近未来的だ。社員が立ち止まることなく、次々とセキュリティゲートを通り抜けていく。ICカードをタッチして入館するスタイルのオフィスは多いが、「セキュリティ強化策としてリニューアル前に顔認証システムを導入しました」と説明するのは、同社 業務管理部の小林茂さんだ。共用スペースにあるトイレに行くときにうっかりIDカードを忘れても心配ない。出退勤もパソコンのログイン/ログアウトから行っている。
リニューアルに際しては、社員アンケートや各部署から選出された若手社員によるディスカッションの末、社員の声をもとに設計した。さっそくオフィスを案内してもらった。広いフロアはあちこちに観葉植物があり、ゆったりとした執務スペースが特徴だ。かつては120室ほどあった会議室を30室ほどに減らして、日々の働く場を広くした。さらにデスクが横一列に並ぶユニバーサルレイアウトを解消。1人用デスクのほか、少人数の打ち合わせ向けのボックス席、オンラインミーティングができる半個室、機密性の高い打ち合わせには個室ブースなどがあり、座る場所に迷うほどだ。「当社は在宅・出社のハイブリッドワークです。リニューアルで目指したのは、コミュニケーションを活性化し、社員が出社したいと思うオフィス空間です。仕事に合わせて働く場所を自由に選択できるActivity Based Workingを基本にしています」と小林さんは説明する。
オフィスの什器は様々な種類のものを取り入れている。三角形の3人掛けおにぎりデスクや立って仕事ができる昇降デスク、不要となった漁網やペットボトルを座面や背面に再利用したアームチェアやバランスボールなど、椅子も多彩。入り口付近のコミュニケーションエリアには、好きな飲料を無料で選べる「社長のおごり自販機」やキャンプ気分に浸れるアウトドアチェア、中央のリフレッシュエリアにはコーヒーマシンやウォーターサーバー、ボードゲームも用意されている。飲み物を片手に気分転換したり、何気ない会話を楽しんだりする中から、新しいアイデアもどんどん生まれてきそうだ。
続いて13階に行くと、食堂「Hidamari」とカフェ「KOKAGE」がある。石臼で挽きたてのそばや羽釡で炊いたご飯など、おいしさにこだわった食堂だ。シェフズライブコーナーでは、イベント企画として、牛ハラミの鉄板焼きや牛タン専門店・利休のハンバーグなどを提供する日があり、そんなときは長蛇の列ができるそうだ。日替わりのデリを好きなだけ盛れるグラムバイキングのコーナーは、100g、200g、300gのピタリ賞で、スターバックスコーヒーがそれぞれに合わせて1杯から3杯無料になるそう。カフェにはコーヒーや130円で巻き放題のソフトクリームのほか、ランチタイムに間に合わない人のために、ワッフルやクレープ、𠮷野家・松屋の牛丼なども用意されている。あれもこれもと、食べるものに迷うほどで、1日約1400食が出ているという。
13階フロアは見晴らしがよく、全529席のバリエーションも豊かだ。業務管理部の担当者が様々なショールームを巡って、20種類以上の椅子やソファを厳選した。ひときわ鮮やかな張地のソファは知的障がいのある作家のアートをデザインしたヘラルボニー社のものだ。
「以前の食堂は昔ながらの同じテーブルと椅子がずらりと800席並んでいました。リニューアルのために食堂を閉鎖することはできないので、それらのテーブルや椅子、床や柱の表装の張り替えなどを、2023年の夏の3連休で一気に行い、連休後のサプライズでした」(小林さん)
外を眺めながら座れるカウンター席やゆったり体を預けられるソファ席もある。人気は通称かまくらと呼ばれる、おこもり感のあるブース型の席だそうだ。昼食時間帯以外は打ち合わせや作業スペースとして活用できるため、かまくらにはコンセントがあるほか、各席で使えるようにモバイルバッテリーも常備している。気分転換を兼ねて、しばしば13階へ仕事に訪れる社員もいる。
SDGsに配慮しているのも、リニューアルの特徴だ。途上国の子どもたちに温かい学校給食を届ける活動「TABLE FOR TWO」に長年参加し、既にプラチナパートナーになっているが、今回からさらに対応メニューを増やしている。食器返却口には「めざせ! フードロス0」として前月の残食量を表示。同規模の食堂と比べ約半分のロスと食堂運営会社からも報告をもらっているが、「さらに削減を目指します」と小林さんは言う。
新しい働き方を可能にしたオフィスリニューアルから1年、2024年8月にはファミリーデーを開催し、750人もの社員家族が訪れた。キッズスペースでの縁日や社食体験もあり、「こんなにおいしいお昼を食べられてうらやましい」「また来たい」といった声が次々にあがったそうだ。
食堂のメニューが充実しているだけでなく、スターバックスコーヒーをはじめ、ヴィドフランスのパンなどカフェのメニューも魅力的で、奥にはバリエーション豊かな自動販売機がズラリと並んでいました。IT系部門では、ときには深夜に及ぶ業務になることもあるそうですが、きちんと栄養が取れて、リラックスできる場が用意されているからこそ、思い切り仕事に打ち込めるのだと感じました。