つぼいひろきの住友グループ探訪
住友建機販売 住友建機教習所 大阪教習センター
ショベルカーやフォークリフトなど、建設機械や産業車両の運転資格取得のための登録教習機関である、住友建機教習所 大阪教習センター。住友建機教習所として愛知と千葉に続く3カ所目として、2017年に設立された。
ショベルカーやフォークリフトなど、建設機械や産業車両の運転資格取得のための登録教習機関である、住友建機教習所 大阪教習センター。住友建機教習所として愛知と千葉に続く3カ所目として、2017年に設立された。
門から入ってすぐ目に飛び込んできたのは、ずらりと並ぶ大きなショベルカー。今回は、大阪市西淀川区にある住友建機教習所 大阪教習センターを訪ねた。ここでは、大阪労働局長登録の教習機関として、ショベルカーやフォークリフトなどの建設機械や産業車両の運転に必要な資格などを取得するための「技能講習」や「特別教育」、「安全衛生教育」が行われている。久保田靖夫センター長にお話をうかがった。
「技能講習は労働安全衛生法で規定されていて、ショベルカーやホイールローダーなどの運転に必要な『車両系建設機械技能講習』や、クレーンのフックに荷を掛けたり外したりする『玉掛け技能講習』など8種目があり、これらの技能講習を受けていない者が操作・運転をすると違法になります。一方、特別教育は労働局に登録されたものではありませんが、小型車両系建設機械の運転に必要な資格などを取得するための講習です。安全衛生教育は、安全衛生管理のための教育で、教習所でなくてもできる教育もありますが、自社で講師などを用意できない事業場が申し込んでこられますね」
屋外で「車両系建設機械」の技能講習が始まったのを見学した。大きなショベルカーのバケットを振り上げている姿はカッコいいぞ。隣では、ホイールローダーの走行の実技講習が行われていた。よくよく見ると、普通の自動車と車輪の動きが違う。「そうなんです。普通自動車は前輪しかステアリングが切れないので内輪差を考えて運転しなければなりませんが、ホイールローダーは車体が屈折するので後輪の軌道は前輪と同じになり、小回りがきくんです」と久保田センター長。フォークリフトは普通自動車とは逆で、ハンドルで後輪を操作するため、内側に詰めるように回らないといけないことも教えてもらった。日ごろ運転している車とハンドルの切り方が違うことにも慣れなくっちゃいけないんだね。ショベルカーの運転席のすぐ横で講師が立っている足場は教習用で、住友建機教習所が、指導しやすいように独自設計したものだ。
講習は三つに分類され、技能講習8種目、特別教育13種目、安全衛生教育8種目を行っている。また外国人のお客様向けとして、技能講習のうち「玉掛け」と「床上操作式クレーン」はベトナム語コース、特別教育のうち「クレーン特別教育」はベトナム語とミャンマー語コースを行っている。
気のせいか、講習用の機械がやけにピカピカきれいに見える。「自社およびグループ会社の製品なら定期的に最新鋭のものに入れ替えているのはもちろん、それ以外の機械もできるだけ新しいものをそろえています。建機も進化しており、最近はGPS(全地球測位システム)から送られてきた位置情報を基に、自動的に一定の深さに掘って整地する機能などがついた『ICT(情報通信技術)建機』の導入を国でも推進しています」。運転者の技能のレベルに関係なく操作される建機が増えていくんだろうなあ。
ところで、住友建機教習所の愛知教習センターと千葉教習センターが約40年以上の歴史があるのに対し、大阪教習センターはまだ5年目と新しい。だからこそ、様々な工夫や新しい取り組みもあった。大阪教習センターの開設に設計段階から関わってきたという久保田センター長は、「愛知教習センターで20年以上勤務し、そこで実感した改善点などを大阪教習センターに盛り込みました。第一は冷暖房完備の屋内講習です。ほとんどの教習所では、夏は炎天下でフォークリフトなどの実習が行われていますが、ここでは掘削や整地を行うショベルカーなどの車両系建設機械以外は屋内で実技を行っており、天候に左右されない受講環境を提供しています」と話す。
ちょうど屋内では、高い天井からつり下げられた荷を大きく振れないように移動させる「クレーン特別教育」が行われていた。高所作業車の技能講習、特別教育も屋内で行われるという。その際、車両の排出ガスを直接屋外へ排出する設備も備えられていた。
受講生の中には女性の姿もちらほら見える。「最近は特に建設・土木業界で活躍する女性たちが増えています。当センターでは、電車で来所され着替えたい方のための女性/男性専用更衣室や、女性用ヘルメットも用意しています。また障がい者対応では、車イスに対応するエレベーターやバリアフリー、そしてオストメイト対応の障がい者トイレなども設置しています」と久保田センター長。ベトナム語やミャンマー語のコースもあり、ダイバーシティが進む今の時代らしい先進の教習所と言えそうだ。
これほどまでに快適な教習所だが、後発ゆえに課題は認知度を高めることだという。その一方で、利用者から「住友建機教習所で資格を取得したことを誇りに思う」という声が届けられ、住友グループへの安心感や信頼感を覚えるという。
久保田センター長は「様々な建設現場で扱う機械の安全な運転を習得してもらう限りは、講習の質を追求しています。中でも大きな強みは講師の質の高さです」と胸を張る。住友建機教習所の講師たちは、建機の製造やメンテナンスに携わっていた技術者というベテランぞろいだ。建機の構造自体を知り尽くしている強みに加え、定期的に行われる研修でコーチングや外部から専門家を招いてのアンガーマネジメントまでも学んでいるというから驚いた。安全で信頼される建機の開発・製造はもちろん、それが活躍する現場の安全確保を質の高い技能講習で下支えする住友グループの厚みを実感した。
住友建機教習所 大阪教習センターでは、まずは認知度を高めようと、大阪市内を走るバスのラッピング広告や沿線私鉄で車内ステッカー広告などを展開しています。
またコロナ前には、小学生を対象に、日本でただ一人というレゴ認定プロビルダーを招いて、レゴで建設機械を作る「住友建機のレゴ教室」を開催し大変な人気を集めました。当教習センターを通じてコミュニケーションを深め、住友建機ファンを増やすことも役割だそうです。