盲学校で学ぶ生徒が、日頃の思いや将来の夢、苦い経験を乗り越えて新たな目標を語る「全国盲学校弁論大会」。毎年、地区大会の激戦を勝ち抜いてきた弁士が壇上に立ち、自分の言葉で、ときに熱く、ときに静かに語りかける姿に、多くの聴衆が心を動かされます。
2011年大会の優勝者、中麻(なか・あさ)さんは18歳。幼いころ網膜のがんで視力を失い、一人で走り回れないことに悔しさを覚える反面、友達の前では強がったりと、障害を受け入れられず悩み苦しむ日々を送っていました。しかし、中学生の頃、かつての闘病仲間で亡くなってしまった友人のことに思いを馳せ、いま生きていることがかけがえのない宝であると気付き、以来、積極的に生きていけるようになったという経験を題材に選び、曇りのない声、心に響く語り口で聴衆に訴えかけ、会場を涙で満たしました。