住友 EXPO2025 推進委員会 中村委員長インタビュー

人・社会・地球が輝く未来へ向けた
住友グループの思いをたくさんの人に届けたい

「いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)」をテーマに掲げる2025年大阪・関西万博。住友グループのパビリオン出展内定を受け、住友 EXPO2025 推進委員会 委員長の中村邦晴(住友商事 取締役会長)が出展の意義や万博への思いなどを語りました。

住友グループの2025年大阪・関西万博へのパビリオン出展が内定しました。大阪は住友家の二代目・友以(とももち)が京都から事業の拠点を移して以来、住友グループにとって所縁が深い場所です。この地で開催される万博を盛り上げ、成功させるためにグループ一丸となって貢献していきたいと強く感じています。パビリオンのテーマや出展内容を具体的にかたちにしていくにあたっては、住友グループがこれまで歩んできた歴史と、未来へ向けてどのようなビジョンを描いているのかを表現できる場にしたいと思います。

個人の「豊かさ」から、地球の「幸せ」を考える万博に

今回大阪で万博が開催されるにあたり、1970年に開催された大阪万博を思い出しました。当時の日本は高度経済成長期の最中にあり、国民所得倍増計画に象徴されるように、日本人が「豊かさ」を求めていた時代でした。大阪万博を通じて国内はもとより海外に向けて日本の先端技術を発表することで、産業振興につなげたいという思いが根底にあったのではないでしょうか。

それから半世紀が過ぎ、日本も世界も様変わりしました。現在、私たちは気候変動をはじめとする環境問題や貧困、人権といった様々な社会課題に直面しています。2015年には地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指すSDGs(持続可能な開発目標)が掲げられました。

このような状況を背景に開催される今回の大阪・関西万博は、日本のみならず世界中の人々にとって、そして地球にとって何が「幸せ」なのかを考える万博になるのではないかと感じています。大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)」をテーマに掲げています。いのちを輝かせるには、人も社会も幸せでなくてはなりません。

住友400年の歴史を踏まえ、未来につながる思いを表現したい

住友グループの事業精神の一つに、「自利利他公私一如」(じりりたこうしいちにょ)があります。「自らの仏道修行により得た功徳を、自分が受け取るとともに、他のためにも仏法の利益をはかる。そして、『公』に思えることも『私』に通じ、この二つは相反せず一つのものである」という意味です。住友グループは創業以来「公益との調和」を目指し、人のため、社会のために何をすべきかを熟慮し、様々な事業を発展させてきました。

また、住友グループは環境問題にも真摯に向き合い、解決の方法を模索してきました。明治時代、事業の礎となった別子銅山で煙害が発生したときは、利益よりも人と自然を第一に考えて精錬所を移転し、荒廃した別子の山々に毎年100万本以上の植林を続け、豊かな自然を取り戻しました。

今回のパビリオン出展の根底にもグループの事業精神が息づいています。これまでの歩みを再確認しながら、人のため、社会のため、そして地球のために何ができるのか、輝く未来へ向けた私たちの思いをたくさんの方々に届けたいと考えています。

次世代を担う子供たちに思いを受け継ぐパビリオンを

大阪・関西万博においても、東京2020オリンピック・パラリンピックのときのように3R(リデュース・リユース・リサイクル)が大きなコンセプトの一つになるでしょう。パビリオンの建設にあたってどのような資源を使うのか、そして展示が終了した後は使用した資源をどのように循環させていくのか、ということを考えることが必要です。

また、次の時代を担う子供たちが社会や環境の問題に対する関心を持ち続けることができるアプローチを構築することも大切です。例えば会場で植林をしてもらい、万博が終了した後もその木の成長を見守ることができる仕組みがあれば、環境問題をもっと身近に感じてもらえるでしょう。また、サステナブルな木材資源でベンチのように後に残せるものを作れば、子供たちが成長してもそれを見るたびに、会場を訪れた記憶とともにものを大切にする心を思い出してもらえるのではないでしょうか。これらはまだアイデアの段階ですが、私たちの思いを次世代につないでいくことができるパビリオンをつくるべく、検討を重ねていきます。

自分なりの方法で「参加」することに意義がある

住友グループ社員の皆さんには、どのようなかたちであれ、ぜひ万博に「参加」していただきたいと考えています。どのようなパビリオンにするのかについて意見を出すのも一つの参加方法ですし、万博がスタートしたら実際に足を運ぶのもよいでしょう。自分なりの方法で参加することが、何のために働いているのか、何のために生きているのか、そして私たち住友グループは未来に向けて何をすべきか、ということを考えるきっかけになるはずです。

忙しい毎日を送っていると、つい足元しか見えなくなりがちです。2年以上も続くコロナ禍で自由に行動できなくなり、まわりの世界が狭くなったように感じることもあるかもしれません。そのようなときだからこそ、今回の大阪・関西万博を機に視野を広げてください。そして、地球に生きる一人の人間として、幸せのために何ができるのかについて思いを巡らせてください。

(記事中の所属・肩書は掲載当時(2022年3月)のものです)

(記事中の所属・肩書は掲載当時(2022年3月)のものです)

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