これは1748年、豊後町にある両替商のオーナーだった入江友俊(住友家第5代・友昌の実弟)が、支配人・重郎兵衛に「支配人としての心得」として説いたものだ。
「住友の店員(社員)は非常に多いゆえ、支配人の意に沿う人も、沿わない人もいるでしょう。言うことをきかない人と言っても、店員たちもいろんな事情や理由を抱えている。元々、志がよくない者は論外ではあるが、信念を持った人であっても支配人の意に外れることがある。しかし、そういう人をうまく使えなくては、支配人としての意味がない。管理職の立場では、どうしても自分の意に沿わない人を疎遠にしがちだが、見捨てることなく、そういう人こそうまく使うべきである」と説く。意に沿わない人ほど、上の判断の誤りに気づいたり、違った視点を持っていたりして、後に大きな事を成すことがある、ということだ。現代の管理職にもいえるマネジメントの本質を、江戸時代から問題提起し、諭していたのである。
友俊自身、広く物事を見知った人物であり、