住友家では、江戸時代より業務記録・公用記録などを作成、保存してきましたが、1887年(明治20)に藤井得寿により家史「垂裕明鑑」が編纂されます。その後、1918年(大正7)には、総理事鈴木馬左也のもとで、住友総本店内に恒久的に史料の収集と編纂を行う家史編纂室が設置されました。
当館の前身である家史編纂室は、戦後住友本社の解体に伴い住友各社の共同事業として継承され、1946年(昭和21)に修史室、1966年(昭和41)に住友修史室と改称された後、1987年(昭和62)に京都鹿ヶ谷の地に移り現在の名称「住友史料館」となりました。
当館は、住友家家史の編纂からスタートしましたが、戦後は住友グループの事業史の研究を行い、史料の収集・保存を行う研究機関として、独特の存在感を示しています。
住友史料館は、研究成果の発表の場として1977年以降、毎年「住友史料館報」を発行していますが、本年、令和元年(2019)の節目に50号を迎えることができました。
この間41年間に、住友の事業史に関する178編の論文・史料紹介を掲載することができました。今後の住友の事業史研究を見据え、当館では、これまでの近世~明治初期までの研究の充実に加え、財閥解体までの住友の近代経営史研究にも注力してきました。
この館報50号では、巻頭で史料館の歴史を振り返り、以下住友の近代経営史に関する6編の意欲的な論文を掲載しました。併せてそのバックナンバーを掲載し皆様のご参考に供することといたしました。
なお、来春には館報50号の記念出版として、近代住友に関する単行本を刊行する予定としておりますので、ご期待ください。
特別寄稿 住友の歴史編纂とその特質 ―家史編纂から一三一年の歩み― |
末岡 照啓 |
財閥とコンツェルン ―いわゆる「財閥」考(承前)― |
下谷 政弘 |
近代住友における本社部門経理部の機能 | 牧 知宏 |
一九三〇年前後の産銅業界と住友 | 渡邊 純子 |
関東大震災発生と大阪本社の情報収集 ―合資会社「情報報告」と直後の対応― |
海原 亮 |
明治十五年前後における住友本店の部署別貸付 | 佐藤 秀昭 |
明治初期の銅精錬業と住友銅吹所 | 安国 良一 |
住友修史室報・住友史料館報総目次(第1号~第50号、別冊) |
以上