2015年度「文化財維持・修復事業助成(国内・海外)」1億884万円余、および「アジア諸国における日本関連研究助成」5,435万円余の助成を決定

1.2015年度 「文化財維持・修復事業助成(国内・海外)」

住友財団では、文化財を保存し次の世代に継承していくことは今の世代の責務であるとの認識のもと、24年 に亘り国内外の文化財維持・修復事業助成を続けてまいりました。
今年度は、2015年10月~11月に助成対象を公募し、多数の応募(国内134件、海外36件)の中から、54件(国内37件、海外17件)の通り助成先を決定いたしました。

1.国内

助成対象 37件、助成金総額 7,017万円
<財団設立以来の助成件数・金額(単純累計):660件・13億8,955万円>

【例1】

神奈川県立金沢文庫 文庫長 永村 眞(神奈川県横浜市)
称名寺聖教(しょうみょうじしょうぎょう)のうち湛睿説草(たんえいせっそう)保存修理事業(鎌倉~南北朝時代)
助成金額101万円

称名寺聖教は、北条実時が開基した称名寺に伝来する聖教資料で、日本仏教史・文化史上、欠くことの出来ない重要な位置を占めるものです。湛睿説草は、称名寺第三世が作成した、法会の際に行う説法の自筆原稿です。今回修復の対象となる30点は、特に破損が著しく開披が困難な状態にあるものです。

【例2】

宗教法人新義真言宗総本山根来寺(しんぎしんごんしゅうそうほんざんねごろじ) (和歌山県岩出市)
根来寺大塔安置仏(ねごろじだいとうあんちぶつ)修理事業(江戸時代)
助成金額400万円

根来寺は、空海以来の学僧といわれた覚鑁(かくばん)が創建したと伝えられます。安置仏は、天正13年(1585)の兵火により疲弊した境内の復興にあたった僧栄性(えいしょう)が追補造像した尊像といわれています。一連の安置仏は、大日如来座像を中心に全体として金胎不二(こんたいふに)を具備する羯磨曼荼羅(かつままんだら)を具現しています。

2.海外

助成対象 17件、助成金総額 3,867万円余
<財団設立以来の助成件数・金額(単純累計):276件・6億5,623万円余>

【例】

東京藝術大学 社会連携センター(ユーラシア文化交流センター)センター長 宮廻 正明
アフガニスタン「メス・アイナク」仏教遺跡出土塑像などの保存修復計画作成に関する事前調査
助成金額260万円

本遺跡は、首都カブールから南東へ約40キロにあり、紀元前3世紀から8世紀頃の寺院や多くの仏像、仏画を含む仏教遺跡が残されています。しかし、この地域には大規模な未開発銅鉱床があり、採掘権を取得した中国企業が露天掘りによる採掘を計画しており、そのため遺跡の多くは早晩、破壊、消滅の危機にあります。事前調査ですが、緊急度の高い案件です。

2.2015年度 「アジア諸国における日本関連研究助成」

助成対象 77件、助成金総額 助成金額 5,435万円余
<財団設立以来の助成件数・金額(単純累計):1,351件・10億3,143万円余>

アジア諸国と日本との相互理解を深めるため、主に東アジア、東南アジアの研究者による「日本関連研究」に助成を行ってまいりました。今年度は、2015年9月~10月に助成対象を公募し、応募のあった614件の中から、別紙の通り助成先を決定いたしました。

【例】

学校での防災教育が地域社会での災害リスク減少に及ぼす影響
助成金額約95万円
インドネシア インドネシア大学 日本研究センター 研究員 ナディア・ヨファニ

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