本品は、タイ王国ラタナコーシン朝第2代ラーマ2世王(1766-1824)が創建した王室寺院仏殿の大扉(高さ564cm×幅260cm)です。ラーマ2世王自らがデザインし彫ったものと言われており、タイの伝統技術を伝える木彫美術の白眉として知られています。1959年の寺院の火災で損傷したものを修復したものです。
住友財団が修復助成を行った文化財が、上野公園にある東京国立博物館で開催中の「タイ-仏の国の輝き-」(7月4日~8月27日)及び東京都美術館で開催中の「ボストン美術館の至宝展」(7月20日~10月9日)で、それぞれ目玉作品のひとつとして展示されています。
前者はかつてのタイ国王自らがデザインしたと言われる巨大扉(高さ約6メートル)で、後者は江戸時代の絵師英一蝶筆による涅槃図(表装を含めると高さ約5メートル、幅約2.5メートル)です。いずれも会場内で観客の目を引く規模の大きな作品であるとともに、タイの扉は美術品としては同国の国宝クラスの作品であり、海外での出展はこれが初めてのものです。一方、ボストンの涅槃図はフェノロサにより収集された英一蝶最大の仏画で、海外流出以来の初の里帰りとして注目されています。
夏休みのこの時期、ご家族で美術館を訪れた際には、是非足を止めてじっくり鑑賞していただきたいと存じます。
なお、いずれの展覧会も他にも滅多には見ることのできない素晴らしい作品が数多く展示されていますので、美術愛好家の方にとりましても見逃せない展覧会です。
本品は、タイ王国ラタナコーシン朝第2代ラーマ2世王(1766-1824)が創建した王室寺院仏殿の大扉(高さ564cm×幅260cm)です。ラーマ2世王自らがデザインし彫ったものと言われており、タイの伝統技術を伝える木彫美術の白眉として知られています。1959年の寺院の火災で損傷したものを修復したものです。
本品は、英一蝶(1652-1724)による釈迦入滅の様子を描いたもので、一蝶の法華信仰の篤さを顕すものとして、また一蝶最大の仏画(本紙高さ274cm×幅183cm、全体高さ488cm×幅244cm)としても大変重要な作品です。この度170年ぶりに本格的な解体修理の後、初の里帰りとなったものです。