大阪府立中之島図書館

明治を代表する近代建築・中之島図書館の偉容を写真で綴ります。

壮大な知の歴史を納める宝物殿

宝物殿

見る者を神話の時代へ誘うかのような偉容、1904年に建てられた大阪府立中之島図書館は、ギリシャ・ローマの神殿建築様式を忠実に踏襲した新古典主義の代表的建築として知られる。コリント式の巨大な円柱と梁、それに支えられた三角形のペディメント、そしてふんだんに添えられたアカンサスをモチーフにした文様。そのすべてが、ギリシャ以来の建築の伝統にのっとっている。神殿建築が持つ宝物庫のイメージになぞって設計されたともいわれ、膨大な図書の宝物庫として府民の誇りとなってきた。その純粋さは、一世紀を経た今、さらに際立っている。

曲線と光が綾をなす美しき空間

美しいカーブを描く青銅製の円型ドームは、大阪府立中之島図書館を象徴する意匠である。ドームを見上げる吹き抜けの空間には、大階段がシンボリックに配され、明かり採りのために穿たれた円形窓(オキュラス)から、ステンドグラス越しに柔らかな光が注ぎ込む。部材の多くに木の良材を用い、ネオ・クラシシズムの潮流に日本独自の様式美を付加。三階は壁に沿って回廊が巡り、花綱飾り(フェストゥーン)に彩られたドームの格間を望む密度の高い空間構成は、訪れる者を魅了し続けている。

円型ドーム
回廊

時代の香りに包まれ書を繰る

「すべての人間は生まれながらにして知ることを欲する」と語ったのはアリストテレス。その言葉を裏打ちするかのように、大阪府立中之島図書館は年を追って利用者が増加し、恒常的に閲覧室の増大を図ってきた。そのなかにあって、主館三階の記念室は、明治・大正期の調度やしつらいが残り、往時の面影をよく伝えている。均整のとれた半円の扇窓(ファンライト)がひときわ印象的で、時の要人がここで書をめくり、ときには海外からの賓客ももてなした。扇窓にはめ込まれた当時の手作りガラス越しに見る景色のわずかなゆがみが、建物の歴史を代弁している。

記念室
半円の扇窓

建築データ

竣工
1904年 竣工(1922年本館両翼および書庫を増築)
設計
野口孫市、日高胖
建築
住友本店臨時建築部
総敷地面積
1,344坪
主館延面積
1,165.34坪
所在地
大阪市北区中之島1-2-10
重要文化財指定
1974年 国の重要文化財に指定

アクセス

所在地:大阪市北区中之島1-2-10

インフォメーション

開館時間
月曜日〜金曜日 午前9時〜午後8時、土曜日 午前9時〜午後5時
休館日
日曜日、国民の祝日・休日、3月・6月・10月の第2木曜日、年末年始
URL
https://www.library.pref.osaka.jp/site/nakato/

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