見る者を神話の時代へ誘うかのような偉容、1904年に建てられた大阪府立中之島図書館は、ギリシャ・ローマの神殿建築様式を忠実に踏襲した新古典主義の代表的建築として知られる。コリント式の巨大な円柱と梁、それに支えられた三角形のペディメント、そしてふんだんに添えられたアカンサスをモチーフにした文様。そのすべてが、ギリシャ以来の建築の伝統にのっとっている。神殿建築が持つ宝物庫のイメージになぞって設計されたともいわれ、膨大な図書の宝物庫として府民の誇りとなってきた。その純粋さは、一世紀を経た今、さらに際立っている。