18世紀から19世紀にかけて、欧米の建築界では古代の建築を理想とする「ネオ・クラシシズム(新古典主義)」が大きな潮流となっていた。それまでの主流だったバロック建築の自由奔放な構成や複雑な造形に対する反発が高まっていたのと同時に、古代遺跡の発掘がさかんになり、伝統的な様式や手法が持つ調和と均整に、理想を求める動きが高まっていったのである。
建築家らが手本としたのが、ギリシャやローマの建築様式。ホールや博物館、図書館などで、古代建築の意匠を正確に再現した建物が、次々と現れていた。
大阪府立中之島図書館は、明治37年(1904年)の落成。ギリシャ・ローマの神殿建築を忠実に踏襲し、遅ればせながら日本にも波及した新古典主義の流れを汲むものだ。
正面の中央玄関をポーティコ(玄関柱廊)として、19段の階段からなる高い基壇の上に置いて風格を醸し出している。基壇の上にそそり立つ四本の円柱は、コリント式の柱頭飾りで彩られ、大型の三角形のペディメント(三角破風)を支えている。アメリカのある図書館をモデルとしたといわれ、いかにもアメリカらしい堂々とした構えを持つ新古典主義建築だ。古典様式の忠実な再現は、細部にまで及ぶ。