土佐堀川に影を映す整然とした窓。壁の薄黄色の穏やかな色合いは、周囲を威圧することなく、かつストイックにそこに佇んでいる。旧住友本社と連系各社の本拠であった「住友ビルデイング」(現・三井住友銀行大阪本店ビル)は、東西74m、南北84mに及ぶ大規模建築。1926年(大正15年)に第一期、1930年(昭和5年)に第二期工事が完成した。北東西の各エントランスは竜山石(※1)積み円柱に堂々としたイオニア式オーダーが施されている。濃淡のある自然石の風合いが生かされた分厚い壁に、奥行きのある縦長の窓が規則的に刻まれ、そこに生まれる陰影が、重厚で質実な印象をもたらしている。
※1 兵庫県高砂市伊保町竜山に産する流紋岩質凝灰岩の石材名。