住友が取り組む社会課題 ~未来への羅針盤~

住友電装×地産地消

ワイヤーハーネスの製造を「地産地消」に
製造の自動化がもたらすビジネスと社会課題解決の両立

 地産地消
地域の産物をその地域で消費する地産地消は、持続可能な循環を生む資源利用の形として注目される。地元で生産された作物を地域内で消費すれば、長距離輸送を必要とせず、CO2排出量の抑制が可能。また地域社会が発展することで、SDGsの目標のひとつである「住み続けられるまちづくりを」を実現し、健康で心豊かな暮らしにもつながっていく。少子高齢化や人口減少に悩む地域にとって、地産地消は活性化の武器ともなる。最近では再生可能エネルギーを生かし、脱炭素に貢献しながら産業振興も目指す取り組みが各地で始まりつつある。住友電装では、主力製品のワイヤーハーネスの製造と供給に「地産地消」の考え方をめざしている。ワイヤーハーネスの最大の特徴は、最後の組み立てを人の手で作り上げていく「労働集約型製品」であることだ。ワイヤーハーネスの製造においては、自動化の技術が進むことで、「地産地消」や輸送のためのCO2排出量削減などに寄与している。

住友電装は、自動車用・機器用のワイヤーハーネスをコアとして電子部品や電線などの製造・販売を行っている。ワイヤーハーネスとは、機器の中で電力・通信・情報を伝送する複数の電線を束ねた集合部品のことだ。自動車用のワイヤーハーネスは、自動車内の電力供給や情報通信に欠かせない製品として需要が高まっている中で、住友電装は世界30以上の国と地域で事業を展開しており、世界でもトップシェアを誇っている。

自動車の隅々にまでに行きわたる自動車用ワイヤーハーネス
自動車の隅々にまでに行きわたる自動車用ワイヤーハーネス

ワイヤーハーネスは自動車の中を張り巡らされ、人間で例えると血管や神経のような役割を果たしており、電力や情報信号を伝達する。数百を超える電線と、コネクタや制御ユニットであるECUなどを適切に配置しながら、それぞれの車種の形状に合わせた図面に従って組み立てていく。

ワイヤーハーネスの製造ライン
ワイヤーハーネスの製造ライン

ワイヤーハーネスの製造は、その複雑な作業故に自動化が難しいとされており、現在も世界の各拠点で、多くの人員を雇用して製造を行っている。コスト競争力の観点から、例えば北米向けのワイヤーハーネスはASEAN各国の工場で製造される等、製造拠点からの長距離輸送はやむを得ず、それに伴うCO2排出という問題を避けて通ることはできなかった。そのような中で、昨今の世界的な半導体不足や、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、「労働集約型」というビジネスモデルが通用しなくなったため、住友電装は、この難局を突破するための一つの施策として、「地産地消」の体制構築をめざしている。

「地産地消」実現のために、住友電装は、これまで不可能とされていた製造工程の自動化に向けた取り組みを開始している。例えば自動化による工数削減が実現しやすい「セット工法」の実用化や、分割ハーネスの導入である。

ワイヤーハーネスの製造工程は従来の人手に頼る工法でも、全工程の約15%は自動化が進んでいるが、切圧線が自動でセットされる「セット工法」の実用化により、リードタイムの大幅な短縮につなげることができた。さらに4、5個のモジュールに小型化したハーネス(分割ハーネス)を自動で組み立てる仕組み(e-STEALTH W/H®)を掛け合わせることで、ハーネスのカタチを変え少ない品番で多品種対応をめざすと同時に、自動化率もモデルラインでは約50%まで高められる。自動化率を高めることで、製造コストが高い地域でのワイヤーハーネス製造も容易となり、地産地消の推進、輸送時のCO2排出量の削減にもつなげられる。

分割ハーネス
(左)e-STEALTH W/H®、(右)分割ハーネス(4~5分割)

このほか住友電装では、従来品に比べて車両トータルで約12%の軽量化を実現したアルミワイヤーハーネスも開発した。全世界でトップシェアのワイヤーハーネスが軽量化を実現できれば、自動車走行時のCO2排出量削減に大きな効果が期待できる。

社会課題解決とビジネス成長はトレードオフになることが少なくないが、住友電装では社会課題の解決とビジネス成長を、同時に実現できるように模索していく。

住友電装株式会社
https://www.sws.co.jp/
住友電装は、1917年に電線製造会社として設立しました。1957年より現在の主力製品であるワイヤーハーネスの生産を開始し、電線事業で培った「つなげる技術」を根幹に、時勢の変遷をしっかり捉えその時々に確固たる事業基盤・領域を築き上げてまいりました。自動車産業の発展とともに、現在では自動車用ワイヤーハーネスの専門メーカーとしての地位を確立し、グローバル企業として事業を展開しています。

各社が取り組む社会課題

脱炭素 パネルイメージ

脱炭素

地球温暖化の原因となる温室効果ガスの実質排出量ゼロを目指す、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを紹介します。

サプライチェーン パネルイメージ

サプライチェーン

サプライチェーンのグローバル化や複雑化に伴い、企業にはサプライチェーン上で発生する課題への適切な対応が求められています。

新しい働き方 パネルイメージ

新しい働き方

新型コロナウイルスの感染拡大により多くの企業が従来型の働き方を見直したことで、働き方改革が加速しています。

健康 パネルイメージ

健康

新型コロナウイルスの感染拡大により、企業にとって従業員の健康への配慮はよりいっそう重要なテーマとなっています。

気候変動 パネルイメージ

気候変動

地球温暖化の進行はビジネス上の深刻なリスクを引き起こす可能性があります。そのため、企業には中長期的視点での戦略策定と具体的な対策が求められています。

モビリティの電動化 パネルイメージ

モビリティの電動化

環境負荷軽減への対応や社会的ニーズの高まりとともに、モビリティの原動力がガソリンから電気へと置き換わりつつあります。

コミュニティ パネルイメージ

コミュニティ

人と人のつながりであるコミュニティを再生・再構築することで社会課題解決に向き合う動きが活発になっています。

貧困 パネルイメージ

貧困

子どもの貧困問題への対応が喫緊の課題になるなど、現代の日本においても貧困は深刻な社会課題の一つとなっています。

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次世代の育成

日本では少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少により、次世代を担う人材の育成が急務となっています。

先端医療 パネルイメージ

先端医療

近年における医療の飛躍的な進歩には、大学等の研究機関はもとより、企業による最先端技術への取り組みが大きく寄与しています。

地産地消 パネルイメージ

地産地消

再生可能エネルギーを生かし、地産地消を通じて脱炭素に貢献しながら産業振興も目指す取り組みが各地でスタートしています。

食品ロス パネルイメージ

食品ロス

世界では食料生産量の3分の1に当たる約13億トンが毎年廃棄されているとされ、食品ロスの解決は一刻を争う課題になっています。

地球環境との共生 パネルイメージ

地球環境との共生

人と企業が地球環境との共生を図っていく上で、対応すべきさまざまな課題について、各社の取り組みを紹介します。

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強靭性・回復力

自然災害だけでなく、さまざまなハザードがあり、その姿は時代とともに変化し、激甚化もしています。それに負けない強靭性や回復力を持つしなやかさが求められています。

地方創生 パネルイメージ

地方創生

地域の資源を生かして産業を強化することで、地方の人口減少を克服し、持続的な社会を創生する取り組みを紹介します。

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