2017年度「文化財維持・修復事業助成(国内・海外)」1億442万円余、および「アジア諸国における日本関連研究助成」4,873万円余の助成を決定

1.2017年度 「文化財維持・修復事業助成(国内・海外)」

住友財団では、文化財を保存し次の世代に継承していくことは今の世代の責務であるとの認識のもと、26年に亘り国内外の文化財維持・修復事業助成を続けてまいりました。
今年度は、2017年10月~11月に助成対象を公募し、多数の応募(国内126件、海外46件)の中から、47件(国内33件、海外14件)の助成先を決定いたしました。

1.国内

助成対象 33件、助成金総額 6,994万円
<財団設立以来の助成件数・金額(単純累計):728件・15億2,883万円>

一例:

公益財団法人前田育徳会(東京都目黒区)
ひゃっこうしょう保存修復事業(江戸時代)
助成金額250万円

「百工比照」(重要文化財)は、加賀藩5代藩主前田綱紀つなのりの時代(綱紀没後も含む)に収集・整理・分類された工芸全般にわたる資料の集大成であり、江戸時代前期から中期にかけての、各種工芸の実物資料や見本、模造品、模写の図案や絵図、文書資料からなります。しかしながら、資料の消耗劣化及び汚れ・くすみ、また、資料を収納するおりほん・重箱・抽斗ひきだしの破損も目立つようになってきています。今回修復の対象となるのは損傷の著しいもの9点です。

一例:

菱形ひしがた八幡宮はちまんぐう総代会そうだいかい 宮総代 清田 一輝(熊本県熊本市)
木造男女だんじょ神像群しんぞうぐんの修復事業(平安時代、鎌倉~南北朝時代、室町~江戸時代)
助成金額250万円

菱形八幡宮に祀られている本神像群19躯は、中近世中部九州の神像彫刻の制作と展開を考えるうえでも貴重な存在とされますが、2016年の熊本地震では神社背後の岩盤崩落により大破した本殿の下敷きとなりました。その後、多くの氏子の尽力で岩盤下から救出されましたが、この事故によって、神像群は大小の受損を余儀なくされ、長期にわたって下敷きとなっていたため表面にはカビ害虫害が発生するに至っており、修復が急がれるものです。

2.海外

助成対象 14件、助成金総額 3,448万円余
<財団設立以来の助成件数・金額(単純累計):303件・7億2,508万円余>

一例:

ボストン美術館 アジア絵画修復室長 ジャッキー・エルガー
ボストン美術館(アメリカ)所蔵「羅漢図」の修復 助成金額22,900ドル

「羅漢図」は、鎌倉時代に制作された全16幅からなる十六羅漢図のうち15幅が伝わったものです。墨書銘からかつて奈良・法華寺に伝来したことが判明しており、南都仏画の重要作例といえます。現状は、全体に経年による強い横折れや料絹の断裂、欠損等が著しく展示ができない状況であり、急ぎ全面的な修復が求められています。

一例:

フリーア美術館 東洋絵画修理室主任 アンドリュー・ヘア
フリーア美術館(アメリカ)所蔵「地蔵菩薩霊験記」の修復 助成金額10,000ドル

「地蔵菩薩霊験記」は鎌倉時代13世紀中頃の作品で、地蔵菩薩の慈悲深さが様々な物語の中でふんだんに描かれたものです。作者は不詳ですが作品から推察される芸術的な技量と多才な能力は秀逸です。現状は、ひどい縦の折れ、破れや絵の具の剥落、浮き・はがれ等が多く見られ、状態は大変不安定であり、急ぎ全面的な修復が求められています。

2.2017年度 「アジア諸国における日本関連研究助成」

助成対象 64件、助成金総額 4,873万円余
<財団設立以来の累計助成件数・金額:1,481件・11億2,919万円余>

アジア諸国と日本との相互理解を深めるため、主に東アジア、東南アジアの研究者による「日本関連研究」に助成を行ってまいりました。今年度は、2017年9月~10月に助成対象を公募し、応募のあった478件の中から、64件の助成先を決定いたしました。

一例:

日韓の社会イノベーション制度の比較研究:中華圏への範として
助成金額 約136万円
香港中文大学 社会福祉学科 准教授 黃 洪

PageTop